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ぶらりツーリングでキャンプ飯

バイク グルメ キャンプ飯の話

カレー大好き上田さんの話

酒場にいると面白い話を耳にする事がある。

その日も、会社帰りにふと、電車の扉が閉まる寸前に途中の駅に降りた。

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飲み屋街

飲み屋街の奥に入った、わずかカウンターだけ8席のラーメン屋。客は、私の左手に3人組。右手に一人。だれもラーメンを食べず、皆、中華系のつまみで、ひたすら酒を飲んでいる。

 

『ウエダさんのカレーの食べ方おかしいよ。知っている?』(私の頭には、上田さんの文字が浮かんだので、この後は上田さんとします。)

既に、かなり顔が赤くなった、スポーツ刈りの中年の男が言った。3人組の中で、一番の年長者。皆、会社の同僚のようだ。

『いえ、どうおかしいんですか?』一番若い、長い髪の青年が、ウーロンハイのグラスを持ちながら聞いた。

『ルーをさ。ほとんど残すんだよ。ほとんどだよ。基本、米だけ食べてる。』『家で、カレーを食べるときも最初のルーで、ご飯だけおかわりするそうだぜ。それでも、ルーが残るんだよ。』

3人の中の真ん中の男が言った。『上田さん。カレー嫌いなんですか?』

その問に、まってましたとばかりに、中年の男が答えた『逆だよ、逆。カレーが好きなんだよ。オートに行っても、競輪に行っても、いつもカレーだよ。』

私は、『上田さんは、カレーだけじゃなくて、ギャンブルも好きだよ。』と心でつぶやいた。

男は続けた。『この間、一緒にオートに行った時、上田さんは、カレー。俺はラーメン注文したんだよ。本当は、俺、カレーラーメン食たかったんだけど、どうせ、上田さん、カレーを残すから、俺、ラーメン半分残して、上田さんのルーを貰って、カレーラーメンにしたんだよ。得だろ。』男は、まるで秘宝を発見した探検家のように、誇らしげにほほ笑んでいた。

『そしたらさ。上田さんから、お前、変な奴だな。と笑われてさ。』また私は、心の中でつぶやいた。『あんたら、いいコンビだよ。』

 

そこまで、黙ってつまみを作っていた女将さんが参戦した。『だったら、カレー屋さんで、においだけでライス食べたらいいんじゃない。』

『おっ、きた、女将さん。落語の鰻の話ですか。』と私の心の声がはずんだ。今日の私の心の声は忙しい。

真ん中の男は、真顔になり『ママ、いい考えだよね。でも、カレー屋でライスのみってあるのかな?』

その問に、私の隣で黙ってもずくスープを飲んでる男の手が止まった事に、私は気づいた。

 

カレー大好き上田さん。そういえば、藤子不二雄さんの漫画に、ラーメン大好き小池さんというキャラクターがいたな。店を出て、駅に向かう道でも、私は上田さんの事を考えていた。

ふと、思い浮かんだ。もしかすると上田さんは、究極のカレー、ひたすら自分の考える最高のカレーを探している探求者ではないのだろうか?

出てきたカレーを一口食べる。この味じゃない。ただお腹は空いているので、ライスは食べる。

 

今度、カレー屋さんに行ったら、周りを見渡そう。いつか、ルーを残す上田さんに会えるかもしれない。