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焚き火とウィスキーを巡る旅⑦

お酒の神様、バッカスが現れて、「一人でキャンプ。焚き火の前で、お前が一番旨いと思う酒は何かな?」と尋ねたら、私は何の酒を選ぶのだろうか。

■本場スコッチか日本人の味覚にあったウィスキーか。

夜が更けてくる。

鳥の鳴き声。木々のざわめき。 

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木々

 薪の弾ける音を聞いているが、耳はどこかでバッカスの声を探している。

もうバッカスは来ないのだろうか。

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焚き火

 背後の林の中に気配を感じ歩いていく。

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背後の林へ

「今宵の酒は決まったかな?」

姿は見えないが、確かにバッカスの声。 

第7回今宵飲むウイスキーは、『ニッカウィスキー余市

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シングルモルト余市

 ニッカウィスキーの創業者。竹鶴政孝が寿屋(現サントリー)を退社後、自分の理想のウィスキー作りの地として蒸溜所を開いた北海道・余市

 

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余市蒸留所

今も当時の石炭による直火蒸溜にこだわっている。

サントリーの創業者の鳥井信治郎とは喧嘩別れのように言われているが、実際は違うようだ。

稀代の名経営者・商売人の信治郎にとって、良いウィスキーとは『売れるウィスキー。日本人の味覚にあったウィスキー。』

対して、スコットランドで技術を学んだ政孝にとっての良いウィスキーとは、あくまでもスコッチだったのだろう。

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頂きます

シングルモルトウィスキー余市

産地  :日本・余市蒸留所

タイプ :シングルモルト

製造者 :ニッカウィスキー株式会社

では早速頂きます。

   :明るい琥珀色とシェリー樽由来の色合い

香り  :トーストが焦げたような麦芽の香り。厚みのある香り。

     少しピート香

味わい :重厚。鼻孔に抜けるスモーキーさ。

余韻  :スモーキーが抜けた後の舌に残る甘さ。

二人の男が田舎の大地を歩いている。

一人は初老に差し掛かった中年男性。もう一人は彼の息子ぐらいの年齢だろうか。

議論というより若い男性が、くってかかっているようだ。

理想と現実。伝統と革新。

野焼きの香りが漂ってきて、二人は足を止める。

中年男性が、そばを流れる清流の水をすくい口に入れた。

その旨さに、若者に飲んでみろ。と声をかけたようだ。

渋々すくって飲んだ若者が、驚いた顔を中年男性に向ける。

その後、二人は笑顔で会話を続けながら春の大地を歩いていく。

「どうだったかな?」バッカスの声が響く。

「悪くない。ただ答えを出すには早すぎる。まだ7本目だ。」

急に風が吹いて木々が騒めいた後、静寂が戻った。

バッカスの気配が消えた。

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風が吹いて

バッカスは私をどこに連れて行こうとしているのだろうか。

続く。