■暴風の夜に…
風の音と背中に当たるテントで目を覚まし、携帯を見ると3時過ぎ。
内向きに半身で寝ている背中に、風でなびいたテントが当たる程の強風。
「パップテントって風に弱そう。ワンポールにしておけばよかったな。」
ドン。
明らかに布でない。質量のあるものが、テントをすり抜けて背中に当たります。
猿?人間?違う。あれだ。
その瞬間、体が動かなくなります。
「金縛り」
随分前に経験した感覚。
背中にいるのは女性。
30歳前後。
理由は分かりませんが、ただそう感じる。
背中から前に手をまわしてきて、私の胸、頬の辺りを撫でまわします。
されるがままなのも、少し悔しい。
指先が唇に触れた瞬間。
口に力を集中。ガブッ。
噛みつきます。
歯ごたえは無い。でも「グッ」という声が背中から。
「こちらからの応対に反応するんだ。」
と妙な納得感。
悪意はないようですが、怖いので退散して欲しい。
「南無阿弥陀仏」を繰り返します。効果なし。
「南無妙法蓮華経」を繰り返すと背中の気配がㇲッと消えました。
やっと身体が動き出します。
この違いなんだろう?と思いましたが、どうでもいい。
とにかく寝よう。あと2時間。
夜明けになれば大丈夫。
なんとか眠りにつこう。と思っていると、風の音のに混じり、小さな子供達がはしゃぐ声が聞こえてきます。
おいおい、夜中の3時過ぎ、暴風の中で子供が遊ばないだろう。
声を数えると2人?いや3人。
もう止めてくれ。
身体を丸める。今度は縛られていない、身体は動く。
さっきとの違いも分からないけど、そもそも今の状況が意味不明。
足先を小さな手が、くすぐり始めました。
「ごめんね」と思いながら蹴りあげると、すっと、くすぐる手も、子供達の気配も、消えました。
最初の女性(多分?)にしろ次の子供達(多分?)にしろ悪意のない、じゃれついてきた事は分かります。
でも、怖いでしょ。
ごめん。本当に怖いんですよ。
別に「オカルト系キャンプブログを書こう。」
と思っている訳ではないのですが、正直に書くとこうなります。(笑)
なんで金縛りにあってそんなに冷静なの?
実は、過去2回ほど経験がある為です。
1回目は、30年前。
山奥の温泉宿で寝ていると、女性泣き声が聞こえて、金縛り。
その時は、初体験だったので、パニック。
お経を唱える余裕もなく、長時間、金縛り状態。
2回目は、その10年後。
寝ていると窓から誰かが入ってきた気配。
「老婆」が体の上に乗ってきたのを感じます。
手の平の感じが、徐々に上がって、合わせて膝小僧が動く。
両肩に手の平、ももの上にひざが乗っている重み。
膝や手の感じでやせ細った老婆。
見ていないのに白装束だと分ります。
そして、私の顔をのぞき込んでいる。
瞼は動くのですが、開くと、老婆の顔が見えそうで、怖くて開けられません。
必死にお経を唱えていると、しばらくして、スッと消え、軽くなりました。
翌朝、駐車場で、帰り支度としていると、同じ1段目のソロの方から声をかけられました。
「昨日の風、3時くらいから凄かったですね。」
思い切って聞いてみます。
「昨夜、金縛りになりました?」
相手の表情が固まります。
聞かなきゃよかった。
★今回の話は、決して大多喜天国キャンプ場さんを、心霊スポット的に紹介している訳ではありません。
そもそも金縛りには諸説あります。
続く。