お酒の神様、バッカスが現れて、「一人でキャンプ。焚き火の前で、お前が一番旨いと思う酒は何かな?」と尋ねたら、私は何の酒を選ぶのだろうか。
■これがバーボンだ。の野性味。
風が強くなってきた。
焚き火の炎が流される。
回りを見ると焚き火を止めて、テントの中に入り出す人達がいる。
バッカスはどうしたんだろう。と思った瞬間、ランタンの炎が揺らいだ。
バッカスが来た。
「お前とのキャンプで、山梨は初めてじゃな。少し道を迷った。」
そう、山梨は去年の9月の同じ本栖湖以来1年ぶり。
でも神様でも迷うのか。
「飲む酒は、決まったかな?」
第17回今宵飲むウィスキーは、『ノブクリーク』
バーボンの地ケンタッキーは、第16代大統領エイブラハム・リンカーンの生誕地でもある。父親は、蒸留所で働き、リンカーン自身も政治家になる前は、酒類の販売業者であった。
ノブ・クリークはリンカーンが幼い頃住んでいた場所。
ノブ・クリークはリンカーンが幼い頃住んでいた場所。
ジム・ビームの第6代マスターディスティラー、ブッカー・ノーは、スーパー・プレミアムバーボンに敬意を持って、その地の名前を付けた。
スモールバッチ(少量生産)のクラフトバーボンで、アリゲーターチャー(わにの背中のようになるまで強く焼いた)の200Lの小型の樽で9年熟成。
では早速頂きます。
濃く厚みのある味わい。
余韻 :強く甘い余韻が長く残る。
その男は言う。
「この酒のテイスティングの仕方はこうだ。」
グラスのノブ・クリークをストレートで口に含むと、まるで口の中をすすぐように、クチャクチャとし、ゴクリと飲み込む。
「やってみろ」
100プルーフだぞ、ストレートで味が分かるか。ままよ。
強いアタックに野性味。これがバーボンだ。と言わんばかりのパワー。
「どうだ。これが俺のおやじの作った酒だ。」
男は、満足そうに笑みを浮かべた。
確かに、アメリカ人は、ストレートで飲んでいるバーボンに水で割ったティスティングなど意味がない。
バッカスの声の風の中に消えた。
続く