お酒の神様、バッカスが現れて、「一人でキャンプ。焚き火の前で、お前が一番旨いと思う酒は何かな?」と尋ねたら、私は何の酒を選ぶのだろうか。
■国王献上の酒は出荷終了
波を音を聴きながらオイルランプの炎をながめる。
冬の海辺のキャンプも悪くない。
房総でこんなに満天の星が見れるなどと、想像もしていなかった。
冬のせいだろうか。
焚き火の炎が揺らぎだした。バッカスだ。
電灯の下に1匹の動物。犬?いや昼間の黒いヤギだ。
でも姿はすぐに見えなくなった。バッカスじゃないのか。
「軍幕か。歳をとっているんだから、楽なキャンプをした方がよいぞ。」
ところでバッカスはいくつなのだろう。
ギリシャ神話なら若くても最低3,500歳ぐらいだろうか。
それなら私はまだ小僧だ。
「今宵のウイスキーは、決まったかな。」
第25回今宵飲むウィスキーは『クラウンローヤル』
『クラウン ローヤル』は、1939年、イギリス国王として始めてカナダを訪問したジョージ6世へ献上する為に生み出されたウィスキー。
国王にふさわしいお酒をと、味わいは、600種ものブレンドを試作し、軽快な口当たりでまろやか。ボトルは、国王の王冠からヒントを得たとされる優美な形で、それは王室調の紫のオペラバックにおさめられました。※ラ・サール蒸留所は最初調合を行った。
プレミアムカナディアンウィスキーの代表。
では頂きます。
産地 :カナダ マニトバ州
蒸留所:ギムリ蒸留所 別名 クラウンローヤル蒸留所
製造者:デイアジオ社
色 :琥珀色
香り :大麦の甘い香りとライ麦のスパイシーさ。
オークとバニラの香り。
味わい:なめらかなスムーズな口当たり。少しオレンジの皮の苦味。
余韻 :軽やかな心地よい余韻。
国王献上のウィスキーという事でもっと重厚な味わいを予想していましたが、マイルドでスムーズ。
「違う。こんな味じゃない。」男は言った。
「スコッチの真似じゃない。国王には、このカナダを感じてもらうんだ。カナダの風土を表現した味わいのウィスキー。それが献上するにふさわしい酒だ。」
旨い。この酒がネットで送料込みで3,000円以下で買える。
でも輸入元(キリン社)のHPでは、21年4月で出荷終了の告知。
もう市中の在庫か、並行輸入でしか飲めない。残念。
「始まりがあれば終わりがある。それは人も酒も同じじゃ。」
いま一つ重みのない言葉を残して、バッカスは消えた。
続く。