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焚き火とウィスキーを巡る旅㊳

お酒の神様、バッカスが現れて、「一人でキャンプ。焚き火の前で、お前が一番旨いと思う酒は何かな?」と尋ねたら、私は何の酒を選ぶのだろうか。

■日本の歴史のそばにいたスコッチウィスキー

パチパチと薪が焼ける音と国道を走る車の音。

風の音はするが虫の鳴き声はしない。時期のせいか、場所のせいか。

炎の動き

空が妙に明るくなった。

もう長い付き合いだ、驚かないよ。バッカス

空が明るく

 

紅葉狩りにはまだ早いかな?』

おいおい、ギリシャの神も紅葉狩りしていたのか?

『秋はウィスキーを飲むにはいい時だ。今宵の酒は決まったか?』

バッカス。いい事いうな。

●第38回今宵飲むウィスキーは『オールドパー12年』

明治期、岩倉使節団により日本に初めて伝わったと言われるスコッチウィスキー。

オールドパー

1873年岩倉使節団によって持ち帰られ、明治天皇に献上。

また吉田茂田中角栄総理が愛飲した事でも有名なスコッチウィスキー。

グラガンモア蒸留所

名前の由来は、150歳以上生きたと言われるイギリスの農夫トーマス・パー。

ラベルに描かれた肖像は、巨匠ルーベンスによるもの。

さて頂きますか。

頂きます

生産地:スコットランド

蒸留所:スペイサイド グラガンモア蒸留所の原酒がキーモルト

製造者:マクドナルド・グリーンリース社

色  :熟成感のある琥珀色。

香り :少しスモーキーな香りが来た後に、甘いフルーティな香りが追いかける。

    そしてウッディな香りが漂う。    

味わい:バランスの良さとボディの厚み。そしてフルーティ。

余韻 :甘い余韻が長く続き、最後に白い花のイメージが浮かんで消える。

白い花が咲き誇る小径を歩く。甘い香りがする。この木はプラムだろうか。

目の前に、古びたベンチに座る老人。誘われてもいないのに、何故か横に座る。

皺の中に光る優しい瞳と真っ白で胸まで伸びた髭。

「おやじ、もうじじい。だと思っているようだが、私から見れば、まだまだだな。」

ありがとう。と言おうと思ったら老人の姿は消えていた。

『いい夢を見たようじゃな。』バッカスの声で気がついた。

「そろそろ1本。せめて今年の1本をきめなきゃいけない時期だよね。」

バッカスはいない

ㇰッ、ㇰッ。バッカスのいつもの籠ったような笑い声。

『決めるのが苦手な男が、なんで納期に縛られる。お前の旅だ。』

でも私の時間は、トーマス・パーみたいに長くないよ。

そんな言葉は、バッカスに伝わったのだろうか。すでに気配は無かった。

続く。