お酒の神様、バッカスが現れて、「一人でキャンプ。焚き火の前で、お前が一番旨いと思う酒は何かな?」と尋ねたら、私は何の酒を選ぶのだろうか。
■ザ・スコッチの名で讃えられるウィスキー
平野と言えども今年1番の寒気到来。夜になって更に冷え込んで来たようだ。
焚き火の温かさがありがたい。
蓮田は、貝塚の遺跡が点在するエリアだ。
焚き火を眺めていると、古代に想いをはせる。
トイレに立って戻ると、何かランタンの色がおかしい。バッカスか?
おお、いきなり空から降り注ぐ光。危ない、一瞬腰が抜けそうになる。
「驚かせないで欲しいな。」目の前にバッカスが立っている。
にやっ。と笑って『Xマスの登場の仕方を考えておってな。どうじゃ。』
『そんな事は良い、ところで今宵の酒は決まったか?』
●第40回今宵飲むウィスキーは『バランタイン17年』
その完成度の高さから、ザ・スコッチの名で呼ばれるブレンデットウィスキー。
バランタイン17年は、1937年に究極のスコッチとして発表された。
30年のように飲む側に緊張を強いる酒ではないが、ドレスコードが必要と感じさせる酒ではある。
さて頂きますか。
生産地:スコットランド
蒸留所:スキャパ・グレンバギー・ミルトンダフ等7種類の原酒がキーモルト
製造者:ペルノ・リカール社
色 :輝くよう場黄金色。
香り :オレンジのようなフルーティな香りとチョコのような甘い香り。
そしてトーストのような麦が焦げた香り。
味わい:ナッツのような味わいとチョコやジャム、蜂蜜のような甘さ。
ドライな味わいとフルーティさが入り混じっている。
余韻 :複雑な余韻が長く続き、最後に胡椒とスモーキーな香りをを残して消える。
重いマホガニーの扉を開けて中に入ると、男が一人立っている。
40代半ばだろうか、仕立ての良いスーツを着ている。
無駄な贅肉の身体は、決してジムで鍛えたのではないようだ。
名家に生まれ、ただそれに甘んじることなく努力して来た男の横顔。
『どうだったかな。』バッカスはまだ立っていた。
「ザ・スコッチと呼ばれるウィスキーを飲んだら、もうブレンデットは決まりかな。と思っていたけれど、そうでもなさそうだ。
『それは、アウトドアで、焚き火を前にして飲むからかも知れないな。その辺が、ウィスキーの面白いところじゃ。』
「もう1杯飲んでみる。」
『朝方は、冷えるから、暖かくして寝た方がいいぞ。』バッカスが言う。
なんか最近優しいな。逆に不安になる。話しかけようと思うと、バッカスの気配は消えていた。
続く