■浪江町に行く理由
福島に行きたい。そう思ったのは、先月NHKの72時間というドキュメンタリー番組で、福島の浪江町にあるスーパーを取材した番組のがきっかけです。
内容は、避難解除された浪江町に、スーパー(イオン)が出来て、そこに正月の食材を買いに来る人々をクローズアップしたものでした。
気になったのは、弁当とかお刺身に、売変シール(スーパーに夜行くと、総菜等に20%引きとか、半額とか貼られている値引きシール)が貼られている商品の多さです。
売れていないから残って値引きになるのですが、TVを見て感じたのは、多分、売れない理由は、『絶対的にお客さんが少ない。つまり、町に人がいないから』だという事です。
調べてみると浪江町の人口は2019年12月1日現在で、1,189人。多分、この店の来客数は、300人未満/日でしょう。平均的なスーパーの1日当たりの来客数は2,000人程度なので、1/6以下。
震災前の浪江町の人口は21,000人。町の全てのエリアが避難指示が解除された訳ではありませんが、今現在、町に戻って来ているのは6%弱という事です。
震災から9年目を迎えるこの3月は、常磐線が全線再開し、双葉町・富岡町の帰宅困難地域も一部避難指示が解除されました。
この9年間メディアを通じてしか見ていなかったものを、自分の眼で見る為に、SRで福島に向う事にしました。むろんキャンプ場などある訳がなく、野営。
3月10日の一部避難解除の出た先週末に行く予定でしたが、雨で順延。
3連休の金曜日にまず浪江町に向い、土曜日に今回避難解除になった双葉町・富岡町をめぐるルートを計画しました。
ずっと週間天気予報を追いかけていましたが、今週末も天候はいまいちです。
20日の金曜日の朝。前日から出ていた浪江町の強風・波浪注意報は解除されていません。手前のいわき地区では、浜沿い特に強風注意との事。風がかなり強そうです。
1日順延、出発を金曜から土曜に変更するか悩みます。でも日曜は、「時々雨」予想。
雨の辛さを考え、風を選択。実は、電車も止まり、聖火も消えるほどの強風とは、後から知るのです・・・・
散々悩んで出発は2時間遅れ。10時半出発です。
荷物を減らしたのと、サイドバックのおかげで少しすっきりしました。
出発。流山から常磐自動車道に乗ります。無理・無理・無理。
なんとか柏を越えましたが、走行車線から追い越し車線まで流される風の強さです。私の運転のせいか、バックのせいか。
谷和原ICで降ります。ここから約220km下道です。
ICを降りて3時間、ノンストップで約140km。2時でかなりの疲労感、昼食にします。
温かく、汁けが欲しかったので北茨城のロードサイト。「やま都うどん」さんに入ります。
新メニューの豚玉うどんにします。
まずつゆが美味しい。かつお節ベースにいりこが全面に出て、そしてやさしい味わいです。
めんはもしもち感の中にしっかりコシがあり、豚肉はあぶった香ばしさ。
基礎力の高いお店です。美味しい。ごちそうさまでした。
緊張の中、帰還困難地域を抜け浪江町に入ったのはもう4時半過ぎです。強風は収まる気配もありません。
やっとテレビで見たスーパーに着きました。
夕飯の買い物時間ですが、予想以上にお客さんがいません。10人以下でしょうか、お客さんの半分は、工事現場帰り風の男性客。
トラックと商用車は走っていますが、街中に人影はありません。
避難指示が解除されて3年。TVを通して感じたとおり、町に戻った人の少なさを実感しました。
ところで、暴風で野営はとうてい無理。今晩の寝床はどうしよう・・・・続く