お酒の神様、バッカスが現れて、「一人でキャンプ。焚き火の前で、お前が一番旨いと思う酒は何かな?」と尋ねたら、私は何の酒を選ぶのだろうか。
■ウィスキーは、夏の夜の扉を開ける。
暑い。涼しいはずの鴨川でこの暑さ。
全て「焚き火」のせいだ。
スキットルから持って来たウィスキーをマグに注ぐ。
酒のつまみは、潮騒。
潮騒の音は、心のひだを刺激する。
ましてや、ウィスキーの酔いの余韻が残っている。
浜辺でも歩こう。
そう夏の夜は、異界の扉が少しだけ開くかも知れない。
何かさっきから、妙に灯りが輝いている。
若い頃は、異性との出会いの魔術に期待したけれど、親父になるとウィスキーの魔術にいざなわれるようだ。
鴨川市では、毎年6月から8月にかけてアカウミガメの産卵が行われています。
期間中で10件程度の事例が確認されているだけなので、痕跡を見れるのも稀。
海亀のメスはデリケートなので、万が一、その姿を見かけたら静かに、その場を離れる必要があります。
見てみたいけど、もし見かけたらすぐにその場を離れなければならない。
なんとなく海亀が初恋の女性に思えてきた。
禁断なルール、まるでエデンの園のようだ。
浜辺に腰をおろし、持ってきたスキットルからウィスキーを飲む。
喉を流れる刺激。
夏の夜とウィスキーはおやじを感傷的にしてくれる。
続く