お酒の神様、バッカスが現れて、「一人でキャンプ。焚き火の前で、お前が一番旨いと思う酒は何かな?」と尋ねたら、私は何の酒を選ぶのだろうか。
■ちょい悪な弟のようなテネシーウィスキー
ボンという音に見上げると打ち上げ花火。大房岬のあたり。
観光用ではなく、地元の子供たち向けか、こじんまりとした花火。
このくらいは、いいと思う。
波の音は、若い頃のほろ苦い思い出を思い出させてくれる。
「レンタカーで、赤いファミリアを借りて、女の子と湘南に行ったけど、大渋滞。
返却の時間があるので、海にいたのは30分ぐらいだっだかな?」
バッカスだ。
「何度も言うけど、人の記憶に入るのは止めて下さい。そもそもそんな事、忘れていたよ。」
★ファミリアは、マツダの小型車で1980年発売の5代目が爆発的にヒット。
第1回の日本カーオブザイヤー受賞車。赤が特に人気。
新しい焚き火台の炎が激しく燃え上がる。
今宵はどんなウィスキーの旅になるのだろうか。
第15回今宵飲むウィスキーは、『ジョージ・デッケル」
ジョージ・デッケルは、ジャックダニエルと同じテネシーウィスキー。
1870年ジョージ・A・ディッケルによって設立されたが、禁酒法で廃業の憂き目に合うが、1958年に再建。さらに1999年に再度閉鎖。2003年に復活という変遷をたどっている。
バーボンの原料には、トウモロコシを51%以上使う必要が、ジョージ・デッケルは81%以上トウモロコシなので、アメリカの法律では、コーンウィスキーに相当。
テネシーと言えば、サトウカエデの炭でろ過するチャコールメローイング製法。
ジョージ・ディッケルは、さらに羊毛の毛布敷いてろ過するという「チルド・メイプル・メローイング製法」
ジョージ・デッケルNo12
タイプ :テネシーウィスキー(コーンウィスキー)
製造者 :ディアジオ
では早速頂きます。
色 :濃いめややオレンジがかった琥珀色
香り :少し接着剤のようで、甘く。バニラ、メープルシロップの香り。
味わい :ガツンとパンチがある。濃い。バニラやキャラメルの味わい。
少し焦げたような苦味。
余韻 :最初のインパクトが大きく、荒々しさの中で余韻が消える。
テネシーウィスキーだし、No12年は約10年の長期熟成なので、スムーズな柔らかな味わいを想像していましたが全然違います。
スマートで世渡り上手な兄に対して、それに反発。
もう中年に差し掛かるのに、いつまでもその不良性を持っている男。
そんな男のような酒。
「あっ。この間の、選びのは1本じゃなくて良い。という助言、感謝してます。」
「今の段階は、という意味じゃ。いずれはその1本を選ぶ苦労をしなければならない。」
風が吹いた。風に乗って音楽が聞こえてくる。テネシーワルツ?
バッカスの気配は消えていた。
まだスキットルには、デッケルが残っている。
最後に1本の薪が燃えるのを見ながら、飲む事にしよう。
続く。