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焚き火とウィスキーを巡る旅⑤

お酒の神様、バッカスが現れて、「一人でキャンプ。焚き火の前で、お前が一番旨いと思う酒は何かな?」と尋ねたら、私は何の酒を選ぶのだろうか。

■原体験的アプローチはどうなのか?

夕食時を過ぎ、周りの話声は低くなり、薪のはじける音と波の音が大きくなった。

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波の音

そんな時に鳥の声。

日の暮れる前「トンビの群れが飛んでいます。ご注意下さい」

とアナウンスがあった。

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トンビの群れ

その群れから離れ、空高く飛ぶ一匹の孤高のトンビ。

「今日のバッカスはトンビ?」と予想していた。

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一匹のトンビ

キャンプ場内の小さな丘に登り、見渡してみる。

夜空に鳥の姿を見つける事は出来ない。

バッカス。どこにいる」

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テントの灯り

鐘の音?カーン・カーンと小さな鐘の音が続く。

急いで海側に走っていくと、鐘を吊るす柱の上に一匹のトンビ。

くちばしで鐘を突いている。

やっぱりトンビか。

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鐘の音

「今宵の酒は決まったかな?」バッカスの声。 

第5回 今宵飲むウイスキーは『サントリーホワイト』

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ホワイト

ホワイトは元の名は白札。1929年発売の国産ウィスキーの第一号。

ただ選んだのは、歴史とか製法とかではなく、私のウィスキーの原体験。

子供頃見たCMで、黒人が楽しそうにウィスキーを飲むCMがあった。

アメリカのエンターテイナー。サミーディビスJr。

黒人にホワイトの宣伝をさせたのだから、今なら大炎上。

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サントリーホワイトCM73年

その後、学生時代、友人と行くパブでよく飲んだのもホワイト。

当時、ウイスキーは等級制で、特級・1級・2級。

特級の代表はサントリーのオールドかニッカのG&G。

特級は学生には高級品。

飲むのは客引きからボトル券を貰った時。

だけど詰め替え品・偽物。

ホワイトは1級。

仲間が失恋するとウィスキーを1本差し入れするのが習わしみたいな時期があった。

1本をアパートに持っていくだけ。一緒に飲むわけでもない。

今夜一人でこの酒を飲んで、失恋の痛みを癒せ。

そのメッセージ。

当時、キリンのNEWSとかもあったが、私が差し入れられたのはホワイト。 

サントリーホワイト

産地  :日本

タイプ :ブレンデット

製造者 :サントリー・スピリッツ株式会社

では早速頂きます。

 色   :淡琥珀

少し水を足す。

香り  :香りの総量は少なく、ドライ。

味わい :シャープで軽い。アルコール感を感じる味わい。

余韻  :余韻は短く、切れのある味わい。 

カウンタ―。一人飲む男。いい事もあった。運の悪い事もあった。

プラス・マイナス。マイナスの方が多かったような気がする。

ロックで飲むこのウィスキーが、俺の背中を押してくれる。

まだ大丈夫だと。

「お勘定。」家に帰ろう。 

『どうじゃ、今宵の酒は、最高の一杯の酒だったかな?』

このウィスキーじゃない。この味は違う。

「お前が」という部分を間違えたよ。

センチメンタルな思い出だけでダメだ。

当たり前だがウィスキー自体の味わいが重要なのだ。

どうやらバッカスの罠にはまった。

くッ・くッ。

バッカスは笑い声とも、トンビの鳴き声とも分からない声を発して飛び立った。 

さて寝る事にしますか。