お酒の神様、バッカスが現れて、「一人でキャンプ。焚き火の前で、お前が一番旨いと思う酒は何かな?」と尋ねたら、私は何の酒を選ぶのだろうか。
■国産に悩む・・・
キャンプでのウイスキー選びの旅が、足元の日本で迷走中。
①中小のメーカーの輸入ウイスキーを使用した国産風ウィスキー。
※酒税法上はOKです。
②大手メーカーの自社原酒と輸入原酒のバッティング・ブレンドウィスキー。
③人気ブランドのノンエイジウィスキー。
①・②については以前書きましたが、今回はノンエイジについて。
例えば、山崎なら基本が12年。旨い。
そして18年。凄い旨い。こう変わるんだ。と感じていました。
ノンエイジは、どうも12年、18年に対し、味のポジショニングのイメージを置くのが難しい。延長線の逆、何か引き算をしてしまう。★個人の意見です。
さらにエイジングの縛りが無いので、どんな原酒を使っているのかも分からない。
そのノンエイジでも手に入れるのが大変。
買うのに苦労するウィスキーがキャンプの酒?
ジャパニーズウィスキーの需要と供給のバランスが崩れている昨今、選ぶのは国産なのかな?と悩んでる次第です。
まずはトイレに行こう。(笑)
棚田を下ると、トイレの周りは蛙の大合唱。
用をすませて、蛙の声を聞いていると、「また悩んでいるようじゃの?悩むのが好きな性格だな。」と蛙の鳴き声に混じり、バッカスの声。
「今宵の酒は決まったかな?」
「トイレの前で尋ねるられてもね。まず焚き火の前に戻るよ。」
第11回今宵飲むウイスキーは、『サントリーシングルモルトウイスキー白州」
1973年にサントリー第2の蒸溜所として誕生した白州蒸留所。
南アルプス。甲斐駒ヶ岳の麓に約82万平方メートルという広大な敷地の中の森の蒸溜所。★一般的に言うと東京ドームだと約18個分の広さ。
水の狩人と言われたサントリーの初代チーフブレンダーが理想の水を求めて、全国を調査。たどり着いたのがこの地。
発酵槽に木桶を使い、森の微生物がウィスキーの作りを手伝います。
直火、様々な形状のポットスチルによる蒸溜。
そしてニューポットは南アルプスの森で眠る。
同じ敷地内には「南アルプスの天然水」が工場あり、ウィスキーの何倍もの売り上げなのは、皮肉なもの。
白州を飲む前は、瓶のイメージから、グレンフィディックのようなノンピートのすっきりした味わいを想像していたのですが、逆でした。
山崎と比較して、ピート香を感じるシングルモルト。
産地 :日本 白州蒸溜所
タイプ :シングルモルトウィスキー
製造者 :サントリー・スピリッツ株式会社
では頂きます。
色 :明るい黄金色。
香り :ドライな感じは受けるが、青い皮の柑橘、スダチ、ライムような香り。
味わい :そんなに厚みは無く、軽快でさわやか、少しりんごの味わい。
原酒が若いゆえのフレッシュな感じ。
余韻 :森香るハイボールのコピーで販促されていたように、かすかなピートの香り
が抜け、湿った青葉の香りが漂い、その後、きれていきます。
雨の上がった新緑の森の中を歩いている。
小鳥たちの鳴き声は、生命の歓喜の歌。
少し湿った緑の風が、家にこもりがちな最近の鬱蒼をした感じを一気に払ってくれる。
森の奥の少し開けた場所で若い青年が、焚き火をしている。
後ろのポケットに入れたスキットルには、ウィスキーが入っている。
彼さえ良ければ少し話をしよう。
「どうだったかな?」バッカスの声が響く。
「美味しい。でもどうしても12年、18年との位置関係を探ってしまうんだ。」
「お前は、人を判断するのに、親子、兄弟から判断するのか?」
バッカスの問いに詰まる。
「考えるな。味わえ、感じろ。だな。」
ホー・ホー。いつもの梟の鳴き声のような笑い声。
風が吹いた。
バッカスの気配は無い。
続く。