お酒の神様、バッカスが現れて、「一人でキャンプ。焚き火の前で、お前が一番旨いと思う酒は何かな?」と尋ねたら、私は何の酒を選ぶのだろうか。
■木に宿るのか心に宿るのか
静かだ。遠くを走る車の音か、風が枝を揺らす音だけ。
そもそもソロキャンパー2人だけで贅沢にキャンプ場を使っているのだから。
近いのも気を使うし、また1番遠くに張るのも何か避けているようで気まずい。
変な気を使うのがおやじソロキャンプ。
焚き火の炎が急に燃え上がる。妙な炎の動き。
バッカスだ。
バッカスが来る。
「今宵のウイスキーは、決まったかな。」
そう目の前のライトアップされた木から聞こえてくる。
バッカスの声が妙に懐かしい。
何故、学校橋では来なかったのかとの私の問に、
「あの夜、私はあの場にいた。私の声にお前が気付かなかったのだ。」
このバッカスの言葉の意味を私が理解するのは、かなり先の話になる。
第21回今宵飲むウィスキーは『バッファロートレース』
タイプ :ストレートバーボンウィスキー
蒸留所 :バッファロートレース蒸留所
製造者 :サゼラック社
バッファロートレース蒸留所は、1773年創業のアメリカ最古の蒸溜所の1つ。
名前を変えながら1999年に現在の名称となる。
バッファロートレースとは、バッファローの通り道の意味で、その名のとおり蒸留所の建つ場所は、開拓時代、野生のバッファロー通り道。
さて頂きます。
色 :少しオレンジの色を帯びた濃い琥珀色
香り :甘いバニラの香り、柑橘、オレンジの香り。チョコレートの香りもある。
強く焼いた樽のスモーキーさも感じられる。