お酒の神様、バッカスが現れて、「一人でキャンプ。焚き火の前で、お前が一番旨いと思う酒は何かな?」と尋ねたら、私は何の酒を選ぶのだろうか。
■日本先行発売?
最近の天気予報はよく当たる。寒波は寒波だ。寒い。
日が落ちてからは、焚き火の温かさでは、補えない程寒い。
バッカスが来ない。新年の挨拶ぐらいしたいな。と思っていたが、予兆もない。
もう少ししたら来るかな?とただ焚き火を見ている。
烏が飛んできて、小川のほとりの木の枝に留まった。
「バッカスは来ないよ。年末のバイトでコロナになって、それから寝込んでいる。」
烏の声が意外にも可愛いのに驚いた。
「ありがとう。バッカスには、無理しないで。何か私に出来る事があったら何でも言って。と伝えて」
カー。普通の烏の鳴き声を発して飛んで行った。多分、伝えてくれるのだろう。
●第42回今宵飲むウィスキーは『アーリータイムズ』
なにやら世界に先駆け日本先行発売のPOPに魅かれて買ってしまいました。
ラベルを見ると「アメリカン・ブレンデッド・ウィスキー」つまりバーボンではない。
バーボンと名乗るには、ケンタッキー州で造られ、ホワイトオークの新樽で熟成させる必要がある。
ラベルには、ケンタッキーとあるので、新樽で熟成していない。という事だろう。
さて頂きますか。
蒸留所:バートン1792蒸留所
製造者:サゼラック社
色 :輝くような黄金色。
香り :バーボンよりも甘い香り、若い木のくせのある香りは少ない。
キャラメル感はある。杏のような香り。
味わい:すっきりとくせのない味わい。
穀物由来のアルコール感を感じる。
余韻 :香りが広がった後に、すっきりと消える。
ベルトコンベアーの上を次々と新樽が流れて行く。
樽が止まると、下から強い火炎でチャーされる。焦げた、少し甘い香りが漂う。
アーリータイムズは、元々の所有者の樽工場で作られた樽で熟成していた。
新アーリータイムズは、その樽は使っていないのだろうか?
名前は、同じだが生まれは変わっていく。
ああバーボンが飲みたい。ミントジュレップ?いや、ストレートを飲もう。
ふと我に帰る。燃える焚き火。
バッカスの事が気になる。
ギリシャ時代には、無敵だったけど、新しい病気のコロナには耐性がないのかも知れない。
薪が燃え尽きた。ますます寒い。もう寝よう。
私も大丈夫か?
続く。